マイクロ波乾燥

工業プロセスの大部分の領域で加熱乾燥は重要な工程になりました。 伝導、対流、または赤外線放射に基づく既存の手法とは異なり、マイクロ波エネルギーを用いる加熱乾燥は、プロセステクノロジー(工程技術)での多くの問題において魅力的なソリューションであるといえます。 マイクロ波による乾燥では、電磁エネルギーを直接的に分子運動エネルギーに転換することにより熱を発生させます。この加熱では乾燥する素材の内部深くで熱が発生します。

Comparison between drying with microwaves and conventional drying methods

図1. マイクロ波乾燥と従来の乾燥法との比較

乾燥対象物質はアルミナ Al2O3の2mm顆粒である例
X = 製品の含水量, 単位 kg/kg
Pmw = 装置上で調節済みのマイクロ波出力
T = 気流 [ m3/h]中で測定された温度 [°C]

マイクロ波乾燥の特長

マイクロ波乾燥によればいわゆる体積乾燥となるため、熱伝導により外部から内部へ加熱していく従来の乾燥法より有利な次項目の各点があります。

  • 温度勾配が外側へ向かう、即ち、内部温度の方が外部温度より高く、このため、分圧が高くなり、内部で蒸発した液体は表面へ押し出されます。
  • その結果、表面層が乾ききることがなく、表面は浸透性を保持します。
  • 製品の内部で蒸発する液体は固体物質の毛管構造による多孔性構造を通じて発散されます。
  • 水分と大部分の有機溶剤の加熱は選択的に行われます。これは乾燥の対象である製品より水の誘電損失の方が高いためです。
  • 熱伝導性が低い湿気の多い製品を素早く徹底的に乾燥できます。
  • 摩擦損失がなく、分厚い層を静止状態を保って乾燥できます。
  • マイクロ波エネルギーの利用効率が高いです。
  • エネルギー移動を素早く制御できます。
  • 工程時間が短縮化、つまり、自動製造工程に適します。