マイクロ波応用のGMP

工業用マイクロ波設備のGMP: 適正製造規範/優良製造所基準/製造管理および品質管理規則についてご説明します。

マイクロ波システムの概念図を図1に示します。マグネトロンは導波管ランチャーに設置されています。電磁エネルギーは導波管構造内で伝達されてアプリケーター(空洞共振器、キャビティー)の中へと連結されます。 反射される電磁エネルギー量は加熱される誘電体の特性と共振器のサイズに依存します。 反射される電磁エネルギーの量をチューナーを用いて最小限にすれば最高効率を達成できます。

設置された循環機はマグネトロンの負荷保護用です。設置する循環機の品質次第で水負荷により反射されたマイクロ波エネルギーの吸収度が決まります。

循環機が無ければ反射されたマイクロ波エネルギーがマグネトロンに戻ってしまい、マグネトロンの出力低下だけではなくその使用寿命も短縮します。(図2) このためマイクロ波による処理工程に必要とされるマイクロ波エネルギーの量が不安定となり、プロセスの再現性が失われます。

こうした背景があることから、循環機を設置してマグネトロンを保護することが必要です。

高品質な循環機では、20dB (標準範囲は 21-26dB)を超える絶縁性があります。

Schematic Design of a industrial Microwave Plant according to GMP microwave

図 1. マイクロ波GMPに準拠する工業用マイクロ波設備の概念図

Generator Diagram (Rieke) for an industrial YJ1540 Magnetron

図 2. 工業用YJ1540 マグネトロンでのマイクロ波発生器のグラフ (Rieke)

工業用マイクロ波設備のGMP: 適正製造規範/優良製造所基準/製造管理および品質管理規則に準拠するマイクロ波システムの特長には次の項目があります。

  • マグネトロンは仕様どおりの寿命期間持続します。
  • マイクロ波システム用のマグネトロンの放射電力は一定を保ちます、即ち、マグネトロンはその使用範囲内で機能します。
  • 方向性結合器またはダイオード検波器を用いて反射されるマイクロ波電力を測定できます。マグネトロンの放射電力の測定値を用いて、較正されたマイクロ波システムは対象製品が吸収したマイクロ波電力を計算できます。

 

Pab = Pvor - Prefl

工業用マイクロ波システムでの所与のマイクロ波電力は国際規格であるIEC60307に準拠して測定およびラベル表示を行うことになっています。

非保護マルチシステムでの不利な点

ここで保護もチューニングも施されてないマグネトロン単体を多く組み合わせたシステムでの不利な点を理解するために、図3では4個のマグネトロンが直接発振器内に連結されたマルチモード空洞共振器の構成を示します。

このマルチモード空洞共振器の中で三次元の分布が生じるに従い (同分布は空洞共振器の負荷条件に依存します)、図3での電界分布は当該の4個のマグネトロンの断面図について示します。

マグネトロンのアンテナ箇所での電界の定在波比を原因として、マグネトロンは異なる負荷条件に置かれますから、マイクロ波の反射が異なることになります。

従って、プロセスに実際に必要であるマイクロ波電力は変動する条件下で決められることとなり、最終的にはプロセスの再現性が失われます。

図3でのマグネトロンの稼動中には、モーディング発生等の問題が生じるおそれがあります。この際マグネトロンは電源が持続的に供給できないほど高い陽極電流を消費します。この状態ではマグネトロンも電源も損傷を受けるおそれがあります。

Design of Microwave System

図 3.マルチモードの空洞共振器内でのマグネトロン4個を保護およびチューニングを行わないマイクロ波システムのデザイン